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【経済編入】受験生がみんなやってるオススメのミクロ経済学の参考書

 以下に紹介されている経済学書は,ほぼ全て私が受験生のころに読んでいたものです.ぜひ参考書探しのおともにしてやってください.また,以下は読んだ順あるいはオススメ度順で並べているわけではなく,あくまで自分が読んできた本を紹介したものになります.受験生の方の感覚にぴったり合うような参考書を探して読んでみてください.

 

もくじ

 

 ミクロ経済学の力』神取道宏 著

ミクロ経済学の力

ミクロ経済学の力

 

  この本は非常に分厚く価格も3500円ほどしますので,自分で購入するには結構勇気がいる本です.しかし大学図書館に所蔵されていたり,一般の図書館にも所蔵されている人気の本ですので,購入する前に一度手に取って読んでみてください.また,この本の一番の魅力は,大学数学の予備知識もほとんど持たないという状態であっても,初級の経済学から出発して,大学3,4年次で学習するような中級ミクロ経済学の内容まで身に着けることができる,という点にあると私は考えています.例えば,ミクロ経済学では初めに「消費者の効用最大化問題」や「企業の利潤最大化問題」といったことを考えるのですが,それらの問題を解く際には大学数学の微分積分学で学習する偏微分や全微分といったものを用います.しかし,大学数学は敷居が高く,できるだけ手っ取り早く経済学の知識を身に着けたいという方への配慮なのか,この「神取ミクロ」では,偏微分や全微分といった概念をいとも簡単に、かつ分かりやすく解説していました.もちろん経済学部への編入学を目指す方は,大学数学の微分積分学についてある程度知っておく必要がありますが,「まずは経済学を理解したい!」という方にはオススメです.

 また,この本には「これだけは知っておこうTPPについて」と題した節が設けられており,経済学が生み出した道具を使って「TPPが締結されるとコメの価格はどうなるのか」といった問題や「TPPによって得するのは誰なのか」といった問題について分析をしています.よってこの「神取ミクロ」は経済学の理論を学べるだけではなく,現実世界を冷静に分析する姿勢やその際に経済学が有効であることをも教えてくれます.ですから,今現在経済学部への編入学を目指していて,「経済学なんて何の役に立つんだ」と思っている方はぜひ読んでみてください.経済学に対する考え方が180度変わる,といっても過言ではありません.

 ただし,いくら予備知識がなくても読めるとはいえ,第3章特に後半は難しいです.できるかぎり理解しようと努めることは大事ですし,理解できれば良いのですが,どうしても難しいと感じてしまう場合には飛ばしてしまってもかまわないと思います.数学の知識が身についた後に振り返ってみてください.

 第5章以降はゲーム理論に話を割いています.ナッシュ均衡の解説や典型的なゲームの解説だけでなく,プリンシパル・エージェント理論やシグナリング理論まで解説されています.ただし,編入学試験では典型的なゲーム(戦略系ゲーム)しか出題されないので,後半のゲーム理論に関する部分はどこまで読めばいいのだろうか?という問題については各自で判断されるのが良いかと思います.(私は読んでみたいという思いが抑えられなかったので,すべての章を読みました.)

 また,私が受験生のころ(2017年)は「神取ミクロ」の演習書である『ミクロ経済学の技』が出版されていませんでしたので,「演習問題を解くことによって、学習した内容の理解を深めたい!」という思いがかなえられなかったのですが、今ではこの『ミクロ経済学の力』に沿った演習書である『ミクロ経済学の技』という本が出版されているので、併せて学習すると効果的だと思います.

ミクロ経済学の技

ミクロ経済学の技

 

 

 ミクロ経済学』奥野正寛 著

ミクロ経済学

ミクロ経済学

 

 オススメのテキストです.数学を用いて解説しているので,『ミクロ経済学の力』を読みながら大学数学の勉強に取り組み、その後に読んでみると効果的かな,と思います.大学数学の勉強をしないまま読んでしまうと挫折してしまう可能性が高いのではないかと思います.私自身1回挫折したことがありますし,その当時は「このテキストの評価が高い理由がわからないんだけど!!」と思っていました.しかし,ひとたび大学数学の知識を身につけてしまえば,この本がなぜ高評価なのか理解できると思います.

 また,第3章の一般均衡分析は後述する『ミクロ経済学』芦谷政浩 著 に比べて詳しく解説してあります.芦谷先生の『ミクロ経済学』,いわゆる「芦谷ミクロ」は純粋交換経済を対象としてその社会が実現する資源配分について解説しているのですが,純粋交換経済止まりです.しかし,この奥野先生の『ミクロ経済学』は,純粋交換経済に留まらず,さらに企業の生産という概念も含んだ,より一般的な社会が実現する資源配分についても解説しています.*1つまり,「芦谷ミクロ」に比べて奥野先生の『ミクロ経済学』では、より現実に近い経済を分析しようとしているのです.*2

 さらに各章の最後に,それまで解説してきた内容がどのように現実社会に応用できるのかについて書かれているのがこの本の良いところであるといえます.例えば第3章の第9節では,「所得税法人税といった税を徴収すると,経済にはどのような影響を与えるだろうか?」という疑問に対して,一般均衡分析で学んだことを生かして結論を導いています.

 最後に、この奥野先生の『ミクロ経済学』は別冊の演習書も優れています.基礎問題ではありますが,本質的な理解を問うような出題がされていますので,この演習書をこなすことができたら編入学試験に合格できる実力は身についているといえるのでないでしょうか.1問1問が重いので,何度も繰り返すような演習方法ではなく,じっくり考えながら確実に解き方をマスターしていく方法が良いと思います.

ミクロ経済学演習

ミクロ経済学演習

 

 

 ミクロ経済学』芦谷政浩 著

ミクロ経済学

ミクロ経済学

 

これは神戸大の芦谷先生が学部1年生を対象として書いたミクロ経済学のテキストです.ですから,3年次編入学ということを考えるとこの本だけを何度も繰り返して勉強するというスタイルは少々危険です.(この方法で編入学試験に合格し,入学後に苦労している人を何人も見てきました.)よって,効用関数や消費者の選好にまつわる基礎の部分や,一般均衡分析については上に紹介した本などで補っておくと良いと思います.特に効用関数や消費者の選好の基礎の部分は,大阪大で過去(H29年度編入学試験)に出題され,皆解くことができなかったという話を聞いたことがあります.選好の完備性,推移性,連続性,といった言葉を「聞き慣れないな」と思った方は,ぜひ前述の『ミクロ経済学』奥野正寛 著 を読んでみてください.あるいは数学でいえば「二項関係」のことを指すので,二項関係を勉強することも有効な手段かと思います.

 また,芦谷先生の『ミクロ経済学』ですが自分は言葉による説明が冗長に感じてしまったので,個人的には神取先生の『ミクロ経済学の力』や奥野先生の『ミクロ経済学』のほうが好きです.ただしこの芦谷先生の本は,「学部1年生向けになるべく数式を用いず言葉による説明をする」というコンセプトの下で書かれているので,それを否定してしまっては意味がないしナンセンスですよね.

 第14章では国際経済学と題し,リカードモデルが解説されているのがいいなと思いました.国際経済学は(なぜか)あまりミクロ経済学のテキストには入ってこないような気がしますので,幅広く経済学を知っておくためにも,読んでおくと良いと思います.(私は読みました.)また,この本を機会に国際経済学に興味を持ちましたら、基礎コース『国際経済学』澤田 康幸 著 をオススメします.ポールクルーグマン国際経済学(上)も一応へクシャー・オリーンモデルのところまで読んでみたのですが,演習問題に解説がついてなくて泣きました.

基礎コース 国際経済学 (基礎コース経済学)

基礎コース 国際経済学 (基礎コース経済学)

 
クルーグマンの国際経済学 上 貿易編

クルーグマンの国際経済学 上 貿易編

 

 

 『演習ミクロ経済学』武隈愼一 著

演習ミクロ経済学 (演習新経済学ライブラリ)

演習ミクロ経済学 (演習新経済学ライブラリ)

 

 自分はこの本の第1版を購入して演習用として使っていたのですが,少なくともこの『演習ミクロ経済学』第1版の単独購入はオススメしません.この本は『ミクロ経済学』武隈愼一著 に対応した問題集ですので,この記事で今まで紹介してきた本では解説していないようなトピックも演習問題として収録されています.ですから,そもそも理論すら知らないという問題に出くわします.よってこの本を単独で購入するよりは,奥野先生の書いた『ミクロ経済学』とその演習書をセットで買うほうが何倍も良いです.

 また,この本は第2版はかなり使いやすくなっているそうですが,理論を解説しているテキストのほうは結構レベルが高かったような気がします.『ミクロ経済学 増補版』武隈愼一著 は,社会厚生関数の紹介やアローの不可能性定理の簡単な証明(2人3選択肢における社会決定ルール)といったものまで載っていて,面白いといえば面白いのですが,編入学試験に合格するという目的のみ達成するということでしたらオーバーワークのように思います.私は編入学後に,この『ミクロ経済学 増補版』の社会厚生関数やアローの不可能性定理が紹介されている部分を読みました.

ミクロ経済学 (新経済学ライブラリ)

ミクロ経済学 (新経済学ライブラリ)

 

 

 

 ミクロ経済学 戦略論的アプローチ』梶井厚志,松井彰彦 著

ミクロ経済学 戦略的アプローチ

ミクロ経済学 戦略的アプローチ

 

 伝統的な価格理論を最初に持ってくるのではなく,第1章から「あるパン屋の話」と題してゲーム理論(と独占)から説明している珍しいテキストです.(通常は効用最大化→利潤最大化→一般均衡→独占→ゲーム理論と進む.)また,文字ばかりの単調なテキストと異なり,本の中に挿絵がついていたりストーリー仕立てとなっていたりと飽きさせない工夫が随所になされています.自分は現在読んでいる最中なのですが、すごく面白く息抜きに読めるレベルで,(とはいえ計算用紙くらいは隣に置いておくのが良いかもしれないです.)この本を受験生の時に知っていればなぁ...と思いました.多少厳密でなくてもよいから,楽しくゲーム理論の本質をつかみたいという方にオススメです.読んでいる最中ですので、詳しくレビューすることができなくてすみません.読み終わった段階で追記したいと思います.

 

最後に

 編入学を経験された方で,編入学に関するブログを運営し「オススメの経済学書」の記事を書かれる方がいらっしゃいますが,たいていそれらの方の記事には①公務員試験本(らくらく,速習等)②芦谷先生の『ミクロ経済学』③中谷先生の『入門マクロ経済学しか記載されていないと思います.そのことによって,「合格者のみんながその本をオススメにしているし,その本を使わないとダメなのかなぁ...」と思うのは誤りですし,そのような方の記事は一切参考にする必要はないですというのも,そのような方の記事は全て「編入対策公式ブログ」の焼き直しに過ぎないからです.(しかも焼き直しの記事なのに有料だったりするのでたちが悪い.) 

 自身で参考書を探して勉強し,「こんな参考書も良かったよ!」とレビューをして,新たに編入受験生へ有益な情報を残すわけでもなく「あの本だけやってれば受かった!w 編入試験って超簡単!w」と発信する方は最悪です.過去の編入学受験生が残した有益な情報(驚くべきことに,「①②③がオススメだ」というのは2013年から編入対策公式ブログを皮切りにずーっと言われている.)を利用したおかげで簡単な試験になったのであって,編入学試験は参考書探しから始めると,途方もなく難しい試験であると私は考えています.

 そもそも①②③の参考書は,もはや独学の編入学受験生ならばみんなが当然にやっている本です.その中でたまたま試験に合格した人が「この本だけをやって受かった!w」と言っているだけであり,落ちた人も当然にその本を勉強していたのです.このように,参考書のレビューはバイアスがかかった情報であることに受験生は注意すべきですし,新たな価値を提供しない情報に大事なお金を払うべきではないです.

 編入学受験生は,確実に合格したいと思うならば①②③の参考書とさらに上級の本を自身で探して読むべきです.たまたま合格した人の甘い情報に踊らされて,自分の人生を台無しにしないでください.①②③の本をやって落ちていった人を多数見ています.

マクロ経済学

hennyunikki.hatenablog.com

 

経済数学編

hennyunikki.hatenablog.com

 

志望理由書を見る

hennyunikki.hatenablog.com

 

大学別に受験体験記を見る

univ-transfer.hatenablog.jp

 

 

*1:とはいえ2財,2消費者,2生産者,1生産要素という仮定を置いているので,生産要素は資本と労働の2つから成るといった社会には対応していません.そこで2財,2消費者,2生産者,2生産要素の社会の資源配分について解説しているテキストはないものかと探してみると,コア・テキスト「公共経済学板谷淳一,佐野博之著にありました.

*2:しかし,そもそも編入学試験では純粋交換経済の問題すら見たことがないのですが,これはなぜなんでしょうか...計算量が多くなるからなのでしょうか.もし純粋交換経済あるいは生産経済からの出題を見たことがあるよという方がいらっしゃいましたらあとで教えてください.